春に旬を迎える魚たち

春に旬を迎える魚で最もわかりやすいのは、名称の漢字からして季節感を全面に押し出しているサワラです。魚へんに春で鰆ということで、全国的に春が旬の魚かと思われがちですが、意外にも関東沿岸でサワラが一番美味しいのは冬とされています。産卵期を迎える前、最も脂がのっているものは寒鰆と呼ばれ非常に人気が高く、その時期こそが12月から2月の厳冬期となります。サワラの旬が文字通りの季節とされているのは、主に瀬戸内海沿岸部で、暖かくなり始めた頃から初夏にかけて産卵のために瀬戸内海に回遊してきます。その時期に瀬戸内沿岸で姿が目立つようになることから、鰆の字が付けられたとされています。瀬戸内海一帯でもサワラの味が良いのは冬とされ、必ずしも漢字の由来が味の良さを示すものではないことがわかります。
サワラのほか春が旬の魚には、マダイ、サヨリ、シラス、シラウオ、ワカサギ、ニシン、メバルなどがあります。アジは、現在では5月から7月が最も味が良くなる時期とされていますが、かつては漢字の鯵の「参」が「三」を示すということで、旧暦3月、今の3月終わり頃から5月の初め頃にかけて味が良くなり始めるということで、どちらかと言えば春に喜ばれる魚だったことになります。現在では、鯵は季語も夏になっていますので、やはりその頃が最も美味しい魚ということになります。魚は回遊しますので、一般的な旬の時期が過ぎても、南北に長い日本列島周辺のどこかしらで、脂ののった状態で泳いでいることになります。そういうこともあって、海鮮グルメにとっては、目当ての魚がどの時期にどの海域で獲れ、どこの漁港に水揚げされたかも重要とのことで、同じ種類でも、条件の違いによって味わいが変わることがわかります。仕入れて大活躍!タコの選び方・茹で方と簡単絶品レシピもためになります。
サワラで言えば、関東地方では焼いたり唐揚げにしたりと、基本的に加熱調理したものを味わうことが一般的になっていますが、瀬戸内海、主に岡山県の沿岸では、新鮮とれたてのサワラを刺身で味わうと言います。また、卵巣やしらこも共に味わう習慣があることから、正真正銘、産卵シーズンの春が旬ということになります。岡山では、サワラのしらこを味噌汁に入れたり、煮物や炒め物の具にしたりして味わっています。業務用のしらこを卸売で探すには、やはりまずネット検索によって、信頼して購入できる卸ショップを見つけておくことが大切です。多く出回るようになり、最も味が良くなった時期にすぐ購入できるよう、シーズン前に調べておくのがポイントです。