釣りの人気魚のヒラスとブリの関係

 九州方面でヒラスという名前で呼ばれている魚は、標準和名ヒラマサのことです。ヒラスは流線型の見事な体型をしていて、見た目は味覚で人気のあるブリにたいへんよく似ています。ヒラス自体の個体差が大きいことも手伝って、両魚を完璧に見分けるのは難しく、最終的にはそれぞれの口元部分に注目するしかないとも言われています。つまり、ブリの口元がやや鋭角的に角張っているのに対し、ヒラスのその部分は少し丸みを帯びているのです。この魚にはオーストラリアやニュージーランドではキング・フィッシュ、魚の王様という名前がつけられています。高級魚として特別扱いを受けているのです。一方、ヒラスは総じてブリよりも側面を走るラインや鰭の色が濃い黄色になりますが、オーストラリアやニュージーランド以外の英語圏ではブリのほうにイエロー・テイルという名前が付けられています。つまり、その地域ではブリほどこだわって名前がつけられるほど注目を集めていないということです。その地域での扱われ方次第で、魚の名前も変わっていくわけです。
姿や形についてはブリにたいへん似ている魚なのですが、その遊泳力では圧倒的にブリを凌いでいます。釣りの世界では、「スプリンター」「弾丸」といった異名まで付けられ、好ターゲットになっています。瞬間のスピードは群を抜いていて、うまくハリにかけても、一瞬にして糸を切られてしまうことが少なくありません。そのため、釣り人のあいだでは、シマアジやカンパチとともに、容姿の美しさと引き味の双方の魅力を備えた魚として最大級の人気を集めています。千葉の勝浦沖などでは、カモシ袋という特殊な釣り道具を使ったカモシ釣りという釣りが行われていますが、伊豆諸島の磯や堤防釣りでは、大物を釣るには活きエサを泳がせて釣る方法が用いられます。エサのムロアジなどを釣って、それをハリに掛けて泳がせて釣るのです。エサのムロアジを咥えて必死に沖へ泳いでいくのを、いかに食い止めるかがこの釣りでのポイントになります。まさに豪快そのものの釣りといえます。
ヒラスはブリのように大きな群れを作らず単独で行動することが多いので、本格的に漁が行われることがあまりなく、市場に大量に出回るということはありません。しかしその味覚は、ブリが脂をたっぷり乗せ、「氷見の寒ブリ」などとブランド化されて名前を売っているのに対し、釣り以外のところでは今ひとつ日の目を見ていない感じです。「プロでも難しい?仕入れたぶりの消臭と身をかたくしない秘訣とは?」も参考になります。しかし、そのさっぱりした上品な味わいにはグルメ愛好家も注目していて、味噌との相性がいいことから味噌漬けしてから焼いてみたり、そのまま味噌汁で味わうなど、知る人ぞ知る味覚を誇っているといえます。